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中国での会社清算における会計・税務等の注意点(実務編)
/中国での労働契約解除における集団的労使紛争の予防と対策上海ビジネスフォーラム活動報告
開催概要
| テーマ | 第一部:中国での会社清算における会計・税務等の注意点(実務編)
|
|---|---|
| 日時 | 06月18日(木) |
| 講師 | 第1部:叶 家胤 様(上海誠鋭企業発展有限公司) 第2部:邵 春傑 様(日系国際総合法律事務所 上海代表処 中国法顧問) |
| 開催場所 | オンライン |
講演内容
第一部:中国での会社清算における会計・税務等の注意点(実務編)
日系企業が中国市場から撤退・会社清算(自発的清算)を行う際の実務的な流れや、注意すべきポイントについて、詳しく解説がされました。
1. 清算の全体的な流れ
自発的清算は、主に以下の順番で進められます。
- 清算プログラムの起動(清算組の成立)
清算を宣言すると、最高権力機関は「董事会」から「清算組」へと移ります。法律上、清算組は3名以上で構成する必要があります。 - 清算公告
国家企業信用情報システム(ネット上)で45日間の清算公告を行い、債権者へ告知します。 - 税務登記の抹消手続き(最難関)
貸借対照表をきれいに精査・処理した上で、税務局にて登記の抹消を申請します。 - 企業登記(市場監督管理局)の抹消手続き
税務の抹消証明が政府間のシステムにより市場監督管理局へ自動で転送され、問題がなければ市場監督管理局での企業登記が抹消されます(正式に会社が消滅します)。 - 銀行口座の閉鎖と残金の海外送金
清算監査報告書に基づき、残ったお金を日本の投資者(親会社)へ返却し、口座を閉じます。
2. 会計・税務処理における最大のポイント(貸借対照表の整理)
税務登記を抹消する(システム上の)ボタンを押す前に、貸借対照表の項目を「銀行預金」と「払込資本金」の2つだけが残る状態にすることを目指して整理する必要があります。
- 銀行口座の整理
使用していない一般口座や納税口座などは順次閉鎖し、最終的に「基本口座」1つに絞ります。 - 売掛金・未収金の回収
回収や放棄などを行い残高をゼロにします。その際、企業所得税などの税務リスクに注意が必要です。 - 在庫・固定資産・無形資産の処分
売却、廃棄、贈与などでゼロにします。特に廃棄や格安売却を行う際は、増値税や所得税の問題がAIを駆使した税務局のビッグデータシステム(金税4期など)で厳しくチェックされます。 - 債務(買掛金・借入金)の整理
親会社からの借入金がある場合、債務免除(放棄)を受けると原則として子会社の「所得」とみなされ課税されます。過去の繰越欠損金と相殺できない場合は、増資を行ってから返済して清算するなどの実務的なテクニックが使われることもあります。
3. 税務局の「異常リスト」への対応
現在の中国の税務申告はネット化されており、ビッグデータやAIによって申告漏れや社会保険の未照合などの「異常」が自動抽出されます。清算時には、このシステム上にリストアップされた異常を1つずつ書類や証拠を基に解決・消去していく必要があり、過去の記帳クオリティが低いと非常に時間がかかります。
4. 期間の目安と清算後の注意点
- 期間
公告期間(45日)などは決まっていますが、税務抹消手続きにかかる期間は企業の過去の状況により「不明」です。実務上、活動がほぼない綺麗な会社でも、清算開始から資金返却まで最短でも半年程度は見ておくのが無難です。 - 清算後
「清算が終われば一切関係なくなる」わけではありません。法律上、取引先の税務調査などから過去の問題が発覚した場合、清算後であっても再度追求されたり、最悪の場合は会社を復活させて責任を追及されたりする可能性がゼロではないため、関係資料は日本(投資者)で厳重に保管する必要があります。
第二部:中国での労働契約解除における集団的労使紛争の予防と対策
中国に進出している日系企業などの外資系企業を対象に、近年の事業再編やリストラ(人員削減)に伴う従業員との労働契約解除、およびそれに伴う集団的な労使トラブルの予防と対策について、現地の法制度や実務上の事例を交えて、詳しく解説がされました。
1. 中国における労働契約解除の4つの法定事由
中国の労働契約法上、会社側から労働契約を解除する主な理由は以下の4つに分類されます。
- 会社の解散・清算
株主会の決議などの法定要件が明確なため、比較的従業員の抵抗が少ない。 - 経済的リストラ(人員削減)
従業員の20%または20人以上の削減などが対象。政府への届け出が必要で、地域によっては「3年連続赤字」などの厳しい証明を求められるほか、長期・無固定労働契約の従業員を優先的に残さなければならない制限がある。 - 客観的状況の重大な変更による解除
業務に適応できない場合や環境の激変。法的な基準が曖昧で従業員側と揉めやすく、労働仲裁や裁判の裁量に依存するため確実性が低い。 - 合意解約
労使双方が話し合い、合意の上で解除する。
2. 経済補償金(退職金)の算出プランと最新のトレンド
会社都合による解約や合意解約の場合、勤務年数(N)に応じた「経済補償金」の支払いが義務付けられています。
- 原則的な計算
勤務年数1年につき直近1年間の平均月給1ヶ月分(=N)。会社側が違法に解雇した場合は2倍(=2N)を支払う必要がある。 - 近年の高水準化(広東省などの事例)
直近の事例(広東省など)では、法定の経済補償金(N)に加え、特別慰労金や求職支援金を上乗せし、結果的に「2N+1」といった非常に高い水準を従業員側から要求され、現地労働部門も「従業員とよく話し合うように」と、労働者側の要求を容認するような姿勢を見せるケースが増えている。
3. 集団的労使紛争(トラブル)を予防するための5つの対策
大規模な人員削減や配置転換を行う際、従業員がパニックになったり集団で抗議活動を起こしたりするのを防ぐため、以下の準備と対策が重要とされています。
- 実施時期の慎重な選定
中国の大型連休である「春節(旧正月)」の直前・期間中や、政府の重要な政治イベント(会議など)の時期は、従業員の不満が爆発しやすく、政府から時期をずらすよう要請されることもあるため避ける。 - 現地当局(労働部門・警察)への事前相談
社会の安定維持を重視する現地政府に対し、事前に削減計画を報告してアドバイスを仰ぐ。事例では、説明会当日に暴動を防ぐため警察車両を付近に待機させてもらったケースもある。 - キーパーソン(幹部・組合代表)の早期抱き込み
社内で影響力を持つ従業員や、解散手続きのために残ってもらう一部の重要人員(会計・人事など)とは、全体説明会の前に個別に優遇条件を提示し、協力を取り付けておく。 - 当日の現場管理と警備体制の強化
説明会を実施する場所(社内かホテルかなど)の選定、重要エリア(データ室など)の封鎖、機密情報の保護、必要に応じた警備員の配置を行う。 - メディア・風評被害対策
従業員がインターネットやSNSに事実と異なる会社批判を書き込むリスクに備え、メディア関連会社に依頼してネット上の情報をモニタリング(監視)し、不利益な情報を早期に把握・削除する体制を整える。
4. まとめ
現在の中国の激しい経済環境の変化の中、政府は「社会の安定(雇用の維持)」を強く求めています。そのため、企業が大規模な人員削減を行う際は、単に法律に則るだけでなく、「徹底した事前プランニング」「現地当局との密な連携」「社内キーパーソンの把握」「手厚い経済補償(2N水準)の想定」をセットで行うことが、突発的な集団トラブルを防ぐための必須条件となっています。
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